マーチ、ステージア、フェアレディZと乗り継いできた自分にとって、正直排気量を落とすなんてありえないと思っていた。
特にフェアレディZに乗ってからは、大排気量NAの余裕感に完全に慣れてしまっていた。
高いギアのまま低回転でも余裕で巡航できる。
アクセルを少し踏み込めばしっかりトルクが出る。
踏み込んだ瞬間にシートへ押し付けられる加速感。
あの感覚は、どんなに頑張ってもBRZでは味わえない。
それでも今、自分はBRZをかなり気に入っている。
なぜBRZだったのか
候補としては、SUBARUのEJ20ターボ車も考えた。
MT、ターボ、4ドア。
実用性も速さもある。
でも最終的にBRZを選んだ理由はかなりシンプルだった。
「6MT」「NA」「クーペ」
この組み合わせに乗りたかったからだ。
最近の車はターボ化が進み、低回転から力強く速い車が増えた。
それはそれで確かに速い。
でも、自分が運転していて気持ちいいと感じるのは、アクセル操作に対して自然に回転が上がっていくNAエンジンだった。
踏んだ分だけ加速する。
回した分だけ音が変わる。
BRZは速さよりも「操作している感覚」が強い。

フェアレディZは特別な車だった

Zは本当に良い車だった。
長距離は楽。
高速巡航も快適。
踏めば圧倒的に速い。
ただ、速すぎた。
日本の法定速度下では、アクセルを踏み込める時間なんてほんの一瞬しかない。
覆面やオービスを気にしながら乗るくらいなら、実際に使い切れる速度域で楽しめる車の方が、最近は面白く感じるようになった。
Zは「今日は乗るぞ」と気合いを入れて乗る車だった。
一方BRZは、通勤でも普通に乗ろうと思える。
フェアレディZは、最後“維持り”になっていた
Zに乗っていた最後の頃、正直あまり気軽には乗れていなかった。
雨の日は乗らない。
風の強い日は乗らない。
出先でも、ドアパンをもらわないように離れた場所へ停める。
車に乗るというより、車を守ることばかり考えていた気がする。
もちろんそれだけ好きだったということでもある。
ただ、今振り返ると、少し神経質になりすぎていたのかもしれない。
その反動なのか、必要のないパーツを無駄に買い込んでいた時期もあった。
弄っているというより、“維持り”に近かった。

BRZにして、車との距離が近くなった
BRZにしてから、車に乗る頻度はかなり増えた。
燃費は良くなったし、税金も安くなった。
タイヤサイズもGR86と共通で流通量が多く、同じミシュランでもかなり安い。
アフターパーツも豊富で価格も比較的現実的。
結果として、「維持しながら乗る」ことへのハードルがかなり下がった。
これは想像以上に大きかった。
実際、速さやスペックを求めてDIYするというよりは、内装や乗り込んだ時の特別感を重視したカスタムが増えた。
毎日乗る車だからこそ、触れる時間の長い部分を快適にしたい。
ドアを開けた瞬間。
シートに座った瞬間。
夜のガレージでふと車内を見た瞬間。
そういう満足感の方が、今は大きい気がしている。

GTウイングとBBSは、一度やってみたかった
実はBRZを選んだ理由の一つに、メーカーオプションの存在もあった。
人生で一度は付けてみたかったGTウイング。
そしてBBSホイール。
昔から憧れはあったが、年齢的にも「もうこういうのをやるタイミングは最後かもしれない」と思った。
GR86ではなくBRZにしたのは、このオプション設定がかなり大きかった。
実際、GTウイングのおかげで警察に停められたりもした。
正直かなり恥ずかしかった。
でも、それも含めて今のBRZはかなり気に入っている。
速さを追い求める車ではなく、毎日乗りたくなる車。
最近は、そんな距離感の方が自分には合っている気がする。

実用性も思った以上に高い
クーペではあるが、一応4人乗り。
後席を使えば荷物もかなり積める。
フェアレディZの時は、出先で荷物が増えると結構気を遣った。
雨の日などは特に積載に困ることも多かった。
BRZは後席スペースがあることで、「とりあえず車内に放り込める」という安心感がある。
この気軽さは、普段使いする上ではかなり重要だった。
唯一気になった“作られた音”
BRZにはアクティブサウンドコントロールが装備されている。
簡単に言えば、スピーカーからエンジン音を車内へ流して演出する機能だ。
最近の車らしい装備ではあると思う。
ただ、自分はどうしてもこの機能に違和感があった。
BRZを選んだ理由が、NAらしい自然なフィーリングだったからだ。
アクセル操作に対して自然に回転が上がり、実際の音や振動がそのまま伝わってくる感覚。
そこに惹かれていた。
だから、スピーカーから“作られた音”が流れてくる感じがどうしても好きになれなかった。
結局、配線を加工してOFFにした。
ただ、今度は走行中にオーディオへノイズが乗るようになってしまった。
最近の車は色々な制御が繋がっていて、単純にOFFにすれば解決というわけでもないらしい。
速さは減った。でも満足感は増えた
もちろん絶対的な加速感はZの方が上だ。
大排気量NAの余裕感や、アクセルを踏み込んだ時の圧倒的な加速はBRZでは再現できない。
それでも今、自分にとってはBRZの方が「乗っていて楽しい」と感じる場面が多い。
遅いからこそ回せる。
使い切れる。
操作している感覚がある。
最近は、速さそのものよりも、実用域でどれだけ気持ちよく使えるかの方が重要になった。

まとめ
昔の自分は、「排気量は正義」だと思っていた。
実際、大排気量NAの気持ちよさは今でも大好きだ。
でも今は、維持しやすく、気軽に乗れて、実際に使い切れる楽しさを持ったBRZの方が、自分の生活には合っている気がする。
速さを求めていた頃とは、少しだけ車との付き合い方が変わったのかもしれない。